原発事故被災者手記
ぽて人の郡山便り

この状態を何と呼べば良いのだろうか。私には「ファシズム」という言葉以外思いつかない

2012/01/17

5.食べて応援などと言ってられますか?
食品リサイクル法は核汚染物質リサイクル法

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私の家の近くにはヨークベニマルというスーパーマーケットがあります。セブン&アイホールディングスの傘下に入った地元スーパーです。このスーパーは一貫して福島や茨城、千葉、群馬などの核汚染地域の野菜販売に精進している正に福島県の鑑といえる、極悪非道、唾棄すべきスーパーです。いまだに「地元食材を食べて応援、がんばろう福島・東北」などという看板やのぼりを、恥ずかしげも無く掲示し、福島の野菜コーナーがしつらえてあります。

さらに、あろうことか、プルサーマル導入の張本人、米の安全宣言を出してから汚染米が次々と発覚し、福島の米の信用を地獄の底まで失墜させた、我等がぼけなす県知事佐藤雄平の二カッと笑った顔写真つきのブロマイドがそこかしこに貼られて「この野菜は暫定基準値を下回って安全です」と宣言しております。誰が買うかよ、クソッタレ。

「がんばろう福島・東北」は看板に偽りあり。福島以外の東北の野菜なんてどんだけある?葉もの野菜は福島県産もしくは茨城、千葉、群馬の北関東産がほとんど。東北といっても時々岩手産や青森産の大根などがあるくらい。要するに福島県は、核汚染地域の野菜の吐き溜め、もとい、掃き溜めとなっているのです。それもこれも、東電と国の責任と補償逃れのため。「食べて東電・国を応援、がんばろう汚穢土(東京)・福島・北関東の知事・官僚ども」ですな。夕方5時を過ぎると値引きのシールがぺたぺた張られ、10円のほうれん草などが売られているのです。

他地域に比べ法外な外部被曝を受け、呼気からの内部被曝を受け、せめて食い物ぐらい汚染の少ないものを食べたい、食べさせたいという極真っ当なささやかな願いを真っ向から否定し、汚物を食らわすのは、正に鬼畜の所業と思うのですが、値引きの汚物を嬉々として買ってゆく人々を見ると、宅配で北海道、関西以南の食材を取り寄せている私のほうが農家の敵、非県民、ひいては非国民ということになり、全くもってこれほど名誉なことはないと、喜びに打ち震える次第です。わが国の歴史が教えるとおり、正義は非国民にあり!

郡山市の広域商圏を対象としているイオンイトーヨーカ堂も野菜の品揃えは同じようなものですが、さすがに看板、のぼり、雄平の顔写真入ブロマイドは置いておりません。さらに肉は産地県の表示を、魚は漁海域の表示を行っております。しかし、この極悪非道、福島県の鑑である、ヨークベニマルは馬鹿高い富良野豚以外の肉は「国産」のみ表示、魚も産地表示しかしておりません。我が家の近くにはシミズストアというディスカウント系のスーパーがありますが、肉ははっきり「福島県産」を謳い100g100円を切る単価で売っています。この方がずっと潔い。あっぱれであります。私は買わないけどね。さらに、外国産の肉。これほどの円高が進んでいるにもかかわらず国内産と変わらない100g単価128円。野菜の廃棄率を補ってなお余りある利益が転がり込んでいることでしょう。決算が楽しみですね。おめでとう。

さて、廃棄率といえば、売れ残った野菜や肉や魚はどの様に処分されるのでしょう。ヨークベニマルのホームページを見てみましょう。「食品リサイクル法への対応」という項目で「鮮魚・精肉・野菜・果実の調理・加工時に排出される食品廃棄物(食品残さ)を貴重な資源と捉えて、リサイクルに努めています。中でも、排出される生ゴミの約2割を占める鮮魚のアラは、処理業者に委託して、養鶏用飼料に加工、ヨークベニマルが契約している養鶏場などで使用し、「健養卵」などのブランドとして店頭で販売する取り組みを全店で行っています。」と誇らしげに宣言しております。ぎょぎょ、鮮魚のアラといえば魚の核汚染度測定でそっくり除いている部位ではありませんか。ぎょえー、確か大気中に放出された放射性物質よりも海へ放出されたものの方が莫大に大量だったはず、海では希釈されて影響は無い、例え生体内濃縮が起こったとしても水俣病の水銀よりは少ないといわれながらも、平気で500ベクレル越えの魚が採れている。しかも農産物よりも計測はさらにザルである。これが飼料として加工され循環するわけですね。

食品リサイクル法を調べてみると、食品加工業者、スーパー、コンビニなどの食品の卸売・小売業者、飲食店および食事の提供を伴う事業者が対象となり、食品廃棄物を飼料や堆肥としてリサイクルする計画を作らせ報告をさせ、ちゃんとやらなければ罰則もありという制度なのですね。3.11以前ならばすんばらしい法律なのですが、3.11以降は核汚染物質リサイクル法に転化してしまったわけです。

福島県では、福島県内の農作物に加え他県の核汚染地域の食材、海からの魚の残り物が飼料や肥料として使用され、下水汚泥、畜産糞尿も堆肥として使用され、ゴミ処理施設では生ゴミや庭木の枝、落ち葉がばんばん焼かれ、春になれば山から雪解け汚染水が流れ込み、農地の除染浄化などは望むべくも無いということです。

ところで、先日札幌へ帰省した折に実家周辺のスーパーを調べてみました。広域商圏を対象とするイオン、広域商圏を対象とするディスカウント系BIG、中域商圏対象のラルズ東光ストア、最寄商圏対象のシガです。

まずイオンは、単価も高いのですが、さすがに汚染地の食材はほとんどありませんでした。茨城のサツマイモのみ。他の店では福島県産は巨峰といわきのトマトのみ。さすが北海道と言いたいところなのですが、茨城、千葉、群馬の野菜は普通に売られていました。特にディスカウト系BIGや最寄系のシガでは茨城、千葉、群馬の野菜がたくさんありました。BIGでは50円均一のスペースに茨城の白菜が山盛りでした。たとえ、食料自給率220%の北海道でさえ低価格志向の流れの中で、さすがに福島産はありえないのですが、茨城、千葉、群馬などの警戒すべき核汚染地域の野菜がかなりの量入っているということです。

要するに意識の低い人もしくは低所得者層には汚染物を食わせるという傾向が如実に現れているのです。肉についてはどの店も「北海道産国内産」と明記していました。魚についてはイオンは海域表示、それ以外は産地表示のみ。例え北海道であっても廃棄食材の堆肥化、飼料化によって核汚染が広がる可能性があるのです。

札幌の方々だけではない、他の汚染の少ない地域に住む人々にはこれからも十分注意をしていただきたいのです。すでに政府の「収束宣言」が出され、年も改まって福島原発大爆発事故の記憶も薄れてきていると思います。しょせん原発事故など人ごとなのは重々承知しておりますが、食料については人ごとでは済みません。

産地表示のある野菜はまだ良いのですが、コンビニなどで売られている弁当、加工食品や飲食店などで使用される食材には産地表示は不要です。従って安く買い叩かれた核汚染地域の食材が思いのほか大量に出回っている可能性があります。

特に農家や畜産業の方々は堆肥や飼料への警戒を怠らず、できれば堆肥、飼料の放射線計測を実施してください。そして、消費者の方々はまず核汚染地域の食材は絶対に買わないようにしてください。テレビで、慎重に選別された、とっても頭の悪そうな、老い先短いジジイやババアの「食べて応援」などという戯言に惑わされてはいけません。例えあなたが良くても、あなたの購買行動がさらにスーパーなどでの汚染食品の流通を促がし、結果地元の農地を汚染させることになるのです。とにかく福島や北関東の野菜は買わない。売れなければ、どんなに安く買い叩けても、お店は売れる商品を仕入れるはずです。

外食するときには是非、産地をお店の人に聞いてください。そのような人が多くなればなるほど、法律では義務化はされていないがお客様のニーズに応えるために、良心的なお店ほど、産地を明示し、従って核汚染地域の食材は、排除されてゆくはずです。行政や国に規制を期待するよりも、まずは「あやしい食材セシウムさん」は絶対に買わない、外食では産地を尋ねるという消費者としての自由を謳歌してください。そんな自由はもう福島には無いのです。所得や意識の高低も関係なくスーパーで野菜を買うとなると、ほとんど核汚染した野菜しか売っていないのです。まさしく犬畜生にも劣る扱いを受けているのですが、従順なればこそ栄えある福島県民の鑑ということになるのです。正義は非県民にあり!

何度でも言いますが、放射性物質は本当に危険かどうかに関らず(私は私自身の体調や周りの状況から極めて危険だと判断していますが)、そこにあるだけで、地域を分断し、日常を破壊し、人々のつながりを断ち切ってしまうのです。核汚染の少ない地域では、是非かけがえの無い、普通の日常生活を死守して欲しいのです。

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