識者が語る原発問題

原発問題について、あらゆる分野の識者に問う

肥田舜太郎HIDA Syuntarou

国の主張は「直接被曝でなければ原爆症はない」

体内に入った放射性物質は、消えずにずっと放射線を出し続けて、長い時間をかけて人の細胞をじわじわ破壊してゆく。これが内部被曝と呼ばれるものです。 
実は今でも世界中で毎日のように「ヒバクシャ」が生み出されているという事実を伝えていくこと。それが、これからの核兵器廃絶を訴える上での鍵になるのではないかと考えています。
チェルノブイリ事故の被害に関する研究も、ロシアやウクライナの政府は一生懸命抑えているが、抑えきれずにどんどん出てきた。
チェルノブイリについては、残留した放射線によって被害が出たということは、今ではほぼ常識のようになっています。 
プロフィール
  • 医者
  • 軍医少尉として広島陸軍病院に赴任
  • 1945年広島にて被爆し、被爆者救援にあたる
  • 全日本民医連顧問、日本被団協原爆被害者中央相談所理事長

小出 裕章KOIDE Hiroaki

原子力の事の本質は差別の問題。
そこに気がつけば止められるのに、まだ「停電になったら困るから原子力だ」と言っている。
本当に情けない国民。

ウランは実は石油の数分の1、石炭の数十分の1しかいない貧弱な資源。
1980年代に実現予定の高速増殖炉計画が未だ実現できていない。『もんじゅ』だけでも既に1兆円。原子力委員会や行政は一切責任を取らず今日まで来ている。原子力の場というのはたいへん異常な世界
BRIR-VII報告(2005年)
放射線被曝には、これ以下なら安全と言える量はない
どんなに低線量な被曝でも、影響はある。
※BRIR=米国科学アカデミー内の放射線の影響を検討する委員会
プロフィール
  • 科学者(原子力工学)
  • 京都大学原子炉実験所助教
  • 原子力の危険を訴え続ける通称「熊取六人衆」のひとり

児玉龍彦KODAMA Tatsuhiko

日本は未だ19世紀のような議論をしている

熱量で広島の原爆29.6個分。原爆汚染よりもずっと大量の残存物が放出されている。
  • ヨウ素131→甲状腺に集まり小児に癌が起こる
  • トロトラスト→肝臓に集まり20から30年後に肝臓癌や白血病が起こる
  • セシウム→尿管上皮、膀胱に集まる

これらの体内の集積点をみなければホールボディスキャンをやっても意味がない。

文科省や原子力安全委員会は、シミュレーションというのを全く理解していない。21世紀の日本なのに19世紀のような議論をしている。
プロフィール
  • 医学者・生物学者
  • 東京大学アイソトープ総合センター長
  • 東京大学先端科学技術研究センター教授

高木仁三郎(故人)TAKAGI Jinzaburou

地震や津波、地域を覆うような大火に襲われるなどを想定して原発の安全や防災対策を論じることは避けられてきた

廃炉のコストや何万年という最終処分コストが含まれていない。このコスト計算自体にものすごいしかけがある。
事故の際の補償は100億まで。その先は現制度では政府が補償することになっていて、電力会社の責任負担は最初から非常に優遇されている。
プルトニウム計画を続けるための何の正当付けの理由も残っていないにもかかわらず、夢物語を現在も続けている大きな理由は、官僚制の巨大な惰性です。
日本とフランスという、巨大な中央集権的官僚国家がプルトニウム大国になっていく理由が容易に理解いただけるでしょう。

(1997年ライト・ライブリフッド賞 受賞スピーチ)

プルトニウム分離の継続とMOXの軽水炉利用の推進には、今や何の合理的な理由もなく、社会的な利点も見出すことができない。

(IMA「国際MOX燃料評価」プロジェクトより)

原子力時代の末期症状による大事故の危険と結局は放射性廃棄物が垂れ流しになっていくのではないかということに対する危惧の念は、今、先に逝ってしまう人間の心を最も悩ますものです。

(死を覚悟した病床からの最後のメッセージ)

プロフィール

ロバート・ジェイコブズRobert A. Jacobs

現在の原子炉は、津波はもちろん地震に対しても安全ではない

1号機は津波が来る前にメルトダウンしたという多くの証拠がある。もしそうなら、日本の全ての原発の信頼性や耐震性に疑問符がつく。信頼性のない原発は直ちに廃炉すべき。

(2011/8/17 Russia Today)

プロフィール
  • 広島市立大学准教授(歴史学)

フーベルト・ヴァイガーHubert Weiger

重要なのは「市民による調査と情報公開」だ

チェルノブイリ原発事故では多数の市民が日常生活を奪われ、子どもたちが癌になった。重要なのは「市民による調査と情報公開」だ。

(2011/9/28 日経ビジネスON LINE)

チェルノブイリの教訓
  1. 子どもと妊婦を避難するか、短い間でも離れる
  2. 放射能に汚染されていない食べ物を福島に供給する
  3. 避難区域、子供の遊び場、学校などを徹底除染
  4. 環境保護と省エネ、エネルギー効率、再生可能エネルギーを同時に進める

(2011/9/22 衆院議員会館)

チェルノブイリ原発事故では多数の市民が日常生活を奪われ、子どもたちが癌になった。重要なのは「市民による調査と情報公開」だ。

(2011/9/28 日経ビジネスON LINE)

プロフィール
  • ミュンヘン大学教授
  • ドイツ最大の環境市民団体「FoE ドイツ」代表

講演PDF資料PDF
(20011/9/22 衆院議員会館)

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